自動制御は、構造の科目で出るだけでなく、取扱いの科目(作業主任者の職務)や法令でも顔を出します。 用語が多くて敬遠されがちですが、 **「何を測って」「何を動かすか」**の対応を先に作ってしまえば一気に見通しが良くなります。

何を測って、何を動かすか

制御の名前 測るもの(制御量) 動かすもの(操作量)
蒸気圧力制御 蒸気圧力 燃料供給量と燃焼用空気量
温水温度制御 温水温度 燃料供給量と燃焼用空気量
給水制御(水位制御) ボイラーの水位 給水量
蒸気温度制御 過熱蒸気の温度 減温器などの冷却量

「圧力(温度)は燃料で、水位は給水で」——この2本立てが土台です。

2つの制御の型

型 中身 例
フィードバック制御 結果を測り、目標値とのずれを打ち消すように操作を戻す 圧力が下がったら燃料を増やす
シーケンス制御 あらかじめ決められた順序で段階を進めていく 点火から停止までの一連の手順

自動制御と聞いて思い浮かぶ「勝手に調整してくれる」働きがフィードバック、 「決まった手順どおりに進む」働きがシーケンスです。 ボイラーはこの2つを組み合わせて動いています。

フィードバック制御の動作の種類

動作 内容 特徴
オンオフ動作(2位置動作) 操作量を全開か全閉(運転か停止)の2つだけにする 仕組みが単純で安価。制御量が目標値の上下に波打つ(ハンチングしやすい)
ハイロー動作(3位置動作) 高燃焼・低燃焼・停止の3段階にする オンオフより変動が小さい
比例動作(P動作) 目標値とのずれの大きさに比例して操作量を変える なめらかに追従するが、**オフセット(残留偏差)**が残る
積分動作(I動作) ずれの時間的な積み重ねに応じて操作量を変える 比例動作のオフセットを除くために使う
微分動作(D動作) ずれの変化の速さに応じて操作量を変える 変化を先読みして、動きが遅れるのを防ぐ

覚え方のコツ

  • P=いまのずれ、I=これまでのずれ、D=これからのずれ。時間軸で「現在・過去・未来」と並べると混ざらない
  • オフセットが残るのはP動作、それを消すのがI動作。この組合せ(PI)がセットで出る
  • オンオフはハンチングしやすい。単純さと引き換えに、常に上下に振れる

給水制御と低水位の安全装置

構造規格84条が土台です。

決まり 内容
1項 自動給水調整装置は、蒸気ボイラーごとに設ける(複数のボイラーで共用しない)
2項 自動給水調整装置を有する蒸気ボイラー(貫流ボイラーを除く)には、ボイラーごとに、起動時に水位が安全低水面以下である場合および運転時に水位が安全低水面以下になった場合に、**自動的に燃料の供給を遮断する装置(低水位燃料遮断装置)**を設ける
3項 貫流ボイラーには、起動時にボイラー水が不足している場合および運転時に不足した場合に、自動的に燃料の供給を遮断する装置、またはこれに代わる安全装置を設ける
4項 次のいずれかに該当する場合は、低水位警報装置(水位が安全低水面以下の場合に警報を発する装置)で低水位燃料遮断装置に代えられる — ① 燃料の性質または燃焼装置の構造により、緊急遮断が不可能なもの ② ボイラーの使用条件により、運転を緊急停止することが適さないもの

「起動時」と「運転時」の両方を条文が挙げている点が重要です。 起動の瞬間から水位が足りないのに火が入る事故を防ぐため、 運転中だけでなく立ち上げのときにも見張ることが求められています。

給水を自動で調整する方式には、水位に応じて連続的に給水量を変える方式と、 一定の水位で給水ポンプを発停させる方式があります。 後者はオンオフ動作なので、水位が上下に波打つという性質がそのまま現れます。

燃焼安全装置(構造規格85条)

火が消えたのに燃料が出続ければ、燃焼室に未燃ガスがたまってガス爆発になります。 それを防ぐのが燃焼安全装置です。条文の要求は4つあります。

項 要求
1項 異常消火または燃焼用空気の異常な供給停止が起こったときに、自動的にこれを検出し、直ちに燃料の供給を遮断する
2項1号 作動用動力源が断たれた場合に、直ちに燃料の供給を遮断するものであること
2項2号 作動用動力源が断たれている場合および復帰した場合に、自動的に遮断が解除されるものでないこと
3項 自動点火するボイラーでは、点火できない場合や火炎を検出できない場合に燃料を自動遮断し、手動による操作をしない限り再起動できないものであること
4項 燃焼に先立ち火炎の誤検出がある場合には、燃焼を開始させない機能を持つこと

なぜ「自動復帰してはいけない」のか

2項2号と3項は、ともに**「勝手に動き出すな」**という要求です。 停電で遮断された後、電気が戻った瞬間に勝手に燃料が流れ始めたら、 燃焼室に燃料がたまった状態で点火することになります。 必ず人が原因を確かめてから手で戻す——この設計思想を理解しておけば、 選択肢の「自動的に復帰する」は即座に誤りと判断できます。

4項の「燃焼に先立つ誤検出」も同じ発想です。 火がないのに「火がある」と検出器が誤報していれば、 燃料が出ても異常消火と判定されず、燃料が流れ続けてしまいます。 だから燃焼を始めさせないのです。

インタロック

ある条件が満たされなければ次の段階へ進ませない仕組みをインタロックといいます。 代表例は、点火の前に燃焼室と煙道を十分に換気してからでないと点火させないプレパージ、 消火後も一定時間換気を続けるポストパージ、点火動作をしても火炎を検出できないときに燃料を遮断する 不着火インタロック、水位が安全低水面以下になったときに燃料を遮断する低水位インタロック、 起動時に低燃焼状態を経てからでないと高燃焼へ移らせない低燃焼インタロックです。

プレパージは法令にも対応があります。

事業者は、ボイラーの点火を行うときは、ダンパの調子を点検し、燃焼室および煙道の内部を十分に換気した後でなければ、点火を行ってはならない(ボイラー則30条1項)

この条文も2項で労働者自身に同じ義務を課しています。 「たき始める前に必ず換気」は、機械の側にも人の側にも二重に義務づけられているわけです。

火炎検出器

燃焼安全装置の「目」にあたる部品です。炎の何を見ているかで分類されます。

検出器 見ているもの
フレームロッド 炎の中で気体がイオン化して電気を通す性質(電極を差し込んで電流を見る)。炎に直接さらされるため、主として点火バーナの火炎や気体燃料の火炎に使われる
光電管(整流式光電管など) 炎が出す可視光線
硫化鉛セル 炎が出す赤外線と、炎特有のちらつき(フリッカ)
紫外線光電管 炎が出す紫外線

**「ロッドは触って測る、セル・光電管は光で見る」**という切り分けが第一歩です。 フレームロッドだけが炎に直接さしこむ接触式なので、 高温にさらされて傷みやすく、取付位置に気を使うという性質も、そこから導けます。

作業主任者の職務とのつながり

自動制御は、置いて終わりではありません。法令は 「低水位燃焼しゃ断装置、火炎検出装置その他の自動制御装置を点検し、および調整すること」を 作業主任者の職務に挙げています(ボイラー則25条1項8号)。 1月以内ごとに1回の定期自主検査でも、自動制御装置は独立した項目とされ、 起動および停止の装置、火炎検出装置、燃料しゃ断装置、水位調節装置、圧力調節装置について 機能の異常の有無を検査します(同32条1項)。

覚え方のコツ

  • 自動制御の目的はラクではなく安全。だから条文はすべて「止める側」に厳しい
  • 勝手に復帰しない(2項2号・3項)、疑わしければ始めない(4項)が燃焼安全装置の2本柱
  • プレパージ=たく前の換気。ボイラー則30条とセットで覚える

まとめ

  1. 圧力(温度)は燃料で、水位は給水で制御する
  2. P=現在・I=過去・D=未来。オフセットが残るのはP、消すのはI
  3. 低水位燃料遮断装置は起動時と運転時の両方を見張る。ボイラーごとに設ける
  4. 燃焼安全装置は動力源が切れたら遮断し、自動復帰しない。誤検出があれば燃焼を開始させない
  5. インタロックの代表はプレパージ。点火前の換気はボイラー則30条にも義務がある